発言 1
この発言の公式記録◆15番(わたなべ友貴議員) 杉並区議会自由民主党のわたなべ友貴です。会派の一員として、通告に従い、区政一般について質問いたします。 質問項目は、杉並区の防災対策について、荻窪駅周辺のまちづくりについてです。防災対策では、区の燃え広がらないまちづくりの取組、在宅避難、水害時の避難について伺います。また、荻窪駅周辺まちづくりについては、現基本構想の終期を目前に控えた今、これまでの取組を振り返り、また区の今後の荻窪駅周辺まちづくり施策の方向性について伺ってまいります。どうぞよろしくお願いいたします。 まずは、燃え広がらないまちづくりについて伺います。 杉並区が平成29年に独自で行った地震被害シミュレーションによれば、首都直下地震の被害想定は、最悪541名が建物倒壊被害、火災によって亡くなるとされています。また、東京都による被害シミュレーションでは、杉並区内死者数のうち、およそ75%が火災によるものであるとのことです。これらの結果から、杉並区の地震被害対策の肝は、燃え広がらないまちづくりにあると分かります。 杉並区は、現基本構想の目標でもある災害に強い防災まちづくり実現のために、区内建築物の耐震化と木密地域の不燃化を進めています。区内建築物の耐震化率は90.9%まで上がっており、着実に成果を上げていることが分かります。 一方、区は、区内木造住宅密集地域のうち、平成26年4月から阿佐谷南・高円寺南地区、平成27年4月から方南1丁目地区の2地区を不燃化特区に指定し、燃え広がらないまちづくり、具体的には不燃化領域率の上昇に取り組んでまいりました。しかし、目標値が70%にもかかわらず、数値は60%と伸び悩んでいるのが現状です。 そこで、まず、区内には木造住宅密集地域が何か所もありますが、この阿佐谷南・高円寺南地区と方南1丁目地区の2地区を不燃化特区に指定した経緯について確認をいたします。 東京都は、平成30年2月現在の杉並区内町丁目別地震危険度を公表しています。これによれば、荻窪駅周辺地域の天沼地区は、不燃化特区2地区よりも火災危険度は高いとのことです。 また、天沼地区には、これに建物倒壊危険度と災害時活動困難度を合わせた総合危険度において、最高ランク5の地域も幾つかあります。これは不燃化特区2地区と同程度もしくはそれ以上です。ちなみに、最高ランク5は、都内全5,117町丁目のうち85の町丁目しか選定されない、都内全体の上位1.6%の危険度です。 天沼は細い道が入り組み、歴史ある建築物が建ち並ぶ典型的な木造住宅密集地域です。つまり、天沼にお住まいの区民の命を首都直下地震から守るためには、当該地区でも、不燃化特区同様に燃え広がらないまちづくりを重点的に進める必要があります。 そこで、区のこれまでの天沼地区における延焼被害対策について確認します。あわせて、今後の取組についての見解も伺います。 区は、不燃化特区2地区の整備期間の終期である令和2年3月末での目標達成が困難であると判断し、期間を5年間延長しました。設定した目標を必ず達成するという区の姿勢はもちろん支持します。それに加えて、今後は、未達成であった前目標を達成させるだけではなく、新しい目標も達成していただきたいと思います。 具体的には、杉並区をさらに燃え広がらないまちにしていくために、地震被害シミュレーションで、不燃化特区と同様またはそれ以上の延焼被害が想定されている天沼地区や成田地区、堀ノ内地区などの危険地区において、燃え広がらないまちづくりの重点地区として設定することです。 区には、これまで以上に区内不燃領域率上昇のための施策を展開していただきますよう強く要望いたします。 次に、在宅避難について伺います。 新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、国や東京都は、いわゆる避難所の3密を避けるために、基礎自治体に避難所の新設を求めています。しかし、杉並区には、新しく避難所として利用することのできる区有施設はほとんどなく、この求めに応じることは事実上不可能な状態です。 そこで、これまで災害時には、命を守るためにはまず避難所へ避難とされていたものが一転、可能ならば在宅で避難という方針への急速な変化が進んでいます。そこで、本日は、区民の皆さんに在宅避難をしていただくために、区はどのような取組をすればいいのかという視点で質問をしてまいります。 まず、議論の前提として、新型コロナウイルス感染症の拡大で、避難の在り方が見直されていますが、区の避難に対する基本的な考え方について確認をいたします。 新型コロナウイルス感染症の流行下において、避難所運営は、感染予防のために、いわゆる3密を避ける必要があることから、混雑をさせない運営をすることが求められるようになりました。避難所運営の主体は区民です。したがって、災害時、避難所での感染症対策は、区民に頼ることが多くなるのは必然です。 では、災害時、行政がやるべきことは何でしょうか。私は、災害時の正確かつ迅速な情報発信こそ、行政の最重要な役割であると考えています。 避難所の状況は、災害が起きてみなければ分かりません。自宅近くの避難所は人であふれているかもしれませんし、そもそも開設ができないような状況かもしれません。行政は区民に対して避難所の正確な情報を迅速に伝達することで、避難所に来なくても大丈夫な区民を在宅避難に誘導することができます。その結果として、避難所の混雑を防ぐことができるのではないでしょうか。 そこで、避難所の混雑状況について、現在の区民に対する情報伝達手段を確認いたします。 新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、多くの自治体が、避難所の混雑を避けるために、避難所情報の発信について新たな取組を始めています。 群馬県桐生市や広島県安芸高田市、また、つい先日は東京都豊島区でも、民間事業者との協定により、避難所混雑状況のリアルタイム発信を開始いたしました。この仕組みは、避難所担当者が管理画面から、すいています、やや混雑、満など、簡易な避難所状況を入力することで役所のホームページに反映されるというものです。これによって、住民は避難所の事前選択や避難の有無について判断することができるようになります。 また、現在は、自治体のデジタルトランスフォーメーションを推進するために、防災チャットボットも開発されています。既に交流自治体である南相馬市でもトライアルが開始されたということです。これは、国内で約8,400万人が利用している最大のSNSアプリであるLINEに、自治体が防災チャットボットを組み込んだアカウントを作成し、様々な情報を共有することができるというものです。 この利点は大きく2つあります。1つは、既存のツールのLINEを使うことができるので、区民の利用に対するハードルが低いこと。もう一つは、避難所の混雑状況に限らず、被害状況や不足物資など多くの情報をAIが整理してくれることで、区民が自ら欲しい情報へ容易にアクセスをすることができるということです。 このように、住民が情報を取りに来たときにリアルタイムに対応することができる、ICTを活用したプル型のシステムが現在急速に進化を遂げています。私は、杉並区でも、区民の命を守るために、今よりも一層防災対策にICTを活用していくべきであると考えています。 そこで、区民が在宅避難の判断をするために、ICTを活用した避難所混雑状況のリアルタイムな情報伝達の取組を進めていくべきであると考えますが、区の見解を伺います。 区民は、災害が発生したとき、自宅が倒壊したり、自宅から出火したり、家具が転倒して下敷きになりけがをしたりすれば、在宅避難をすることができなくなります。ですから、区が区民へ在宅避難を推奨するためには、建物倒壊対策、自宅からの出火対策、家具転倒防止対策の3つを充実させることが必要です。 建物倒壊対策は、さきに述べたとおり、区内耐震化率が順調に向上していることから、これを引き続き続けていただければと思います。 では、自宅からの出火対策についてはどうでしょうか。阪神・淡路大震災では55件の火災が発生し、そのうち通電火災によるものが6割に上りました。この教訓から、通電火災対策として感震ブレーカーの普及が始まりました。 杉並区における感震ブレーカー普及についての施策を見ると、当初、火災危険度の高い木造住宅密集地域にお住まいの方へ先着順に助成を行い、その後、災害弱者である高齢者世帯、障害のある方や難病の方の世帯へと助成対象を広げてきました。そして本年4月より助成対象を一般世帯にも広げることで、区内全世帯を助成対象とすることになりました。 杉並区の防災対策の肝は火災対策です。燃え広がらないまちをつくるためには、そもそも各家庭が火を出さないことが最善であることは言うまでもありません。ですから、私は、感震ブレーカーの設置助成対象を全世帯に広げた区の施策はとてもすばらしいことだと思います。 そこで、区が本年4月より感震ブレーカー助成の対象を全世帯へ拡充した意図について確認をいたします。 区民の在宅避難のためにもう一つ必要なことは、家具の転倒によって下敷きになることを避けることです。阪神・淡路大震災では、負傷者のうち、家具の下敷きになって負傷された方が全体の46%にも及びます。無事に家具の下敷きから救出されたとしても、長時間体が重いものに圧迫されたことで起こるクラッシュ症候群の危険があります。救出直後は軽症のように見えるのに、数時間後に突然容体が変化し死に至るケースもあるのが、このクラッシュ症候群です。すなわち、区民に在宅での避難生活を続けていただくためには、家具の下敷きになるようなことがないように対策をしなければなりません。そのためには、自宅の家具を転倒しないように各御家庭で対策を取っていただく必要があります。 現在、杉並区は、家具転倒防止器具の取付け助成を65歳以上の高齢者世帯、障害のある方のいらっしゃる世帯といった、いわゆる災害弱者に限定しています。しかし、区はこれから在宅避難を推奨していくのであれば、感震ブレーカー助成同様、家具転倒防止対策の助成対象を区内全体へ拡充するべきであると考えますが、区の見解を伺います。 区は令和2年11月1日号の「広報すぎなみ」において、在宅避難について周知をしています。これはもちろん大切です。今後は、それに加えて、家具転倒防止対策の助成対象を拡充することで、在宅避難の推奨という区の施策目的を発信する強いメッセージにもなると考えます。ぜひとも区には前向きな御検討を期待いたします。 次に、水害時の避難について伺います。 区は、水害時も震災と同様、在宅避難、とりわけ2階以上への垂直避難を推奨しています。その理由は、水害ハザードマップによる区内被害予測の最高浸水深が2メートルに満たないからです。すなわち、2階以上へ避難することができれば、杉並区では水害から命を守ることができます。 一方で、区は、温暖化などの影響により強大化する台風に備えるため、また新型コロナウイルス感染症対策として避難所の3密を避けるために、避難所体制や運営体制について見直しを行ったと聞いています。 そこで、区の風水害時避難所についての最新の見直し状況について確認をいたします。 開設避難場所を増やすことができても、高齢者などのいわゆる災害弱者は、自宅から離れた避難所へ移動することが危険な場合も考えられます。強い雨風の中、橋を渡ったり、大きな幹線道路を横断したりして避難所へ移動してくる方がいらっしゃるのが区の現状です。 文京区では、本年10月27日、民間マンションと協定を結び、垂直避難場所として設置を行う都内初の取組を始めています。協定には、開設後の運営を区が行うことや、備品や戸別受信機を区の費用負担で整備すること、立入り可能エリアを限定することなどが規定をされています。この取組は、災害弱者の避難所への移動の危険を減らすため、また水害避難場所に効果的な区有施設が限られているという杉並区の現状に照らしても、大変有効な取組であると考えます。 そこで、水害時に区は垂直避難を推奨していますが、避難所への避難が困難な方に対応するため、民間マンションと共有部利用の協定締結などを視野に入れた垂直避難場所の増設が有効であると考えますが、区の見解を伺います。 ここからは、荻窪駅周辺のまちづくりについて伺います。 平成24年から始まった現基本構想は、令和3年度末をもって10年の終期を迎えます。現在は新基本構想審議会で議論している真っ最中です。 現基本構想では、目標の1つである「暮らしやすく快適で魅力あるまち」を達成するための重点的取組として、荻窪駅周辺まちづくりが掲げられました。区内に18の駅がある中で、荻窪駅周辺が重点的な取組として取り上げられたことに、地元まちづくりに携わる皆さんは、荻窪駅周辺のまちづくりが大きく前進するということを大いに期待したと聞いています。 そこで、まず、現基本構想において、重点的な取組として荻窪駅周辺が選定された経緯について確認をいたします。 現基本構想では、戦略的・重点的な取組として、荻窪駅周辺地区について、1、南北分断の解消、2、都市機能のさらなる強化を図るという2点が具体的に示されています。これらを達成するための総合計画、実行計画によれば、荻窪駅周辺まちづくり方針に基づき、荻窪駅周辺都市総合交通戦略を策定し、取組を推進するということです。これらはそれぞれ平成29年4月、令和元年1月に策定をされています。 では、果たして、平成24年から令和2年、現在までの9年間で、さきに述べた2点の重点的な取組についてどれほどの進捗があったのでしょうか。基本構想の10年というスケジュールの大部分の時間を費やして作成した荻窪駅周辺都市総合交通戦略も、いざ蓋を開けてみれば、総合交通戦略は、おおむね20年後の未来を視野に入れた期間としていますと記載されています。9年前の基本構想策定時に、荻窪駅周辺のまちづくりの推進に胸を躍らせた皆様の中には、何だ、あと20年も待たされるのかと愕然としている方も少なくありません。 一方で、荻窪駅南側の文化的資源を生かした取組やトランスボックスラッピングなど、成果を上げた点も多々あることはもちろん理解をしています。 そこで、現基本構想における戦略的・重点的な取組である南北分断の解消や都市機能のさらなる強化を図ることとなっている荻窪駅周辺まちづくりの進捗状況について、区の認識を確認します。 荻窪駅周辺まちづくりを進めるためには、民間事業者の中心的存在であるJR東日本との連携が必須です。率直に私は、これまでJR荻窪駅が荻窪のまちづくりに協力的であったとは言い難いと考えています。 一例を挙げれば、荻窪駅東口改札前地下通路の深夜通行の問題です。昨年の第2回定例会でもこの件は取り上げましたので、詳細は申し述べませんが、お体の不自由な方の深夜往来の不便さや防災上の重要性など、同箇所の深夜通行の必要性は疑いようがありません。しかし、改善の兆しは一向に見えません。 以前の御答弁では、見込まれる通行量、費用面、防犯面など問題が多いとのことでした。一言で丸めれば、コスパが悪いということです。あくまでも民間事業者ですから、自社鉄道利用者と自社利益のことのみを考えればいいと言われればそれまでです。しかし、民間事業者が住民の悩みや意見に寄り添うことがなく、コストパフォーマンスのみを考えているような状況では、荻窪駅周辺のまちづくりは一向に進展することはありません。 そこで、荻窪駅周辺まちづくりの中心的存在である民間事業者、JR東日本と区のこれまでの連携状況、今後の取組について確認をいたします。 私が前職の早坂義弘都議会議員の荻窪にある事務所へ入所したのが平成23年10月。それから7年半は秘書として、そして1年半は議員として、時期にすれば、現基本構想の当初から荻窪のまちづくりを考えてきました。 私が初めて荻窪のまちに降り立ったあの日に感じた荻窪というまちの空気、これは現在までどのように変わってきたのでしょうか。商業の集積する荻窪駅周辺、魅力的な商店街や住宅の広がる天沼地域、文化的資源や緑が豊かな荻窪駅南側、これらの魅力は、区民の皆様の御協力と区のポイントを捉えた施策の展開によって、間違いなく向上したと思います。一方で、基本構想の重点的な取組であり、地域住民の念願でもある南北分断の解消は、およそ達成の糸口すら見えない状況のままです。 現基本構想も残すところあと1年となりました。言うまでもなく、基本構想は、10年後の区の目指すべき姿への羅針盤です。目指すべき姿に到達することができなかったからといって、そこで歩みを止めていいものでは決してありません。達成できなかった施策は、基本構想が終期を迎えても引き続き区の重点施策であるべきですし、10年ごとにリセットできるような軽い施策を基本構想に掲げているわけがないと杉並区を信じています。 そこで、最後に、現基本構想が終期を迎えた後の10年間の荻窪駅周辺まちづくりの区の施策としての位置づけについて見解を伺いまして、私の質問を終わります。 ありがとうございました。