発言 1
この発言の公式記録◆杉並区議会自由民主党代表(わたなべ友貴委員) 冒頭、新型コロナウイルス感染症によって命を落とされた皆様に、心より哀悼の意をささげます。また、今もなお感染症に苦しむ皆様の一日も早い回復を祈念いたします。あわせて、連日新型コロナウイルス対策に御尽力いただいております区職員の皆様、そして何より感染拡大防止に御協力をいただいております区民お一人お一人へ、心より感謝を申し上げます。 それでは、杉並区議会自由民主党を代表し、令和2年度杉並区各会計歳入歳出決算について、意見を申し述べます。 令和2年度の一般会計当初予算は、現基本構想の終期である令和3年度を見据え、計画事業ごとの目標達成を確かなものとしていくために、「10年ビジョンの成果を確かなものとする予算」と命名されました。令和2年度は、現基本構想における計画事業の目標達成に向けて、ラストスパートをかける重要な年となるはずでした。こうした大切な時期に、世界中では、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るいました。感染者が増えては減り、しばらくすると以前とは比較にならない数になる、こうした一進一退の状況が世界中で続くこととなります。もちろん、杉並区でも、区民の生命、財産を守るための対策に追われ続ける1年となりました。 そこで、私たち会派は、1、新型コロナウイルス感染症の影響によって冷え切った日本経済が、今後長期間にわたって区政に及ぼす影響に鑑み、国や東京都と連携し、持続可能で効率的な行財政運営に努めたかどうか、2、新型コロナウイルス感染症対策をはじめとした区民の喫緊の課題に適時適切に対応することができたかどうか、3、新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも、可能な限り現基本構想の実現に向けた予算執行がなされていたかどうかという、3つの視点で決算審査に当たりました。 その結果、杉並区議会自由民主党は、令和2年度杉並区各会計歳入歳出決算の全てを認定いたします。 以下、3つの視点について、それぞれ具体的な認定理由と併せて、今後の区政への要望について述べてまいります。 初めに、1、国や東京都と連携をしながら、持続可能で効率的な行財政運営に努めたかどうかです。以下、財政状況を確認した上、財政指標、財政運営、区債と基金のバランスについて、順次見てまいります。 まずは、財政状況についてです。 当該年度の一般会計歳入決算額は2,712億9,214万円、歳出決算額は2,594億2,943万円と、共に過去最大規模となりました。これは、新型コロナウイルス感染症対策として、特別定額給付金事業をはじめとする国・都支出金が大幅に増額したことが主な要因です。また、地方消費税の引上げ等により、地方消費税交付金が24億円の増となりました。区の基幹収入である特別区税は、納税者の増により7億円の増となっていることは、大変喜ばしいことです。 一方で、法人住民税の一部国税化に伴う交付総額の減少により特別区財政交付金が44億円減少、ふるさと納税による区の影響額が24億8,000万円にも及ぶなど、大きな影響もありました。 その結果、形式収支額、実質収支額ともに黒字となり、単年度収支も49億円の黒字となりました。もっとも、実質単年度収支額は1億円の赤字となりましたが、これは、コロナ禍から区民の生活を守るため、積極的な財政調整基金を活用したことに起因するものであると理解をしています。 次に、財政指標についてです。 経常収支比率は、前年度から4.3%上回り86.4%、23区平均よりも4.5%高い数値となっていることに注意をする必要があります。もっとも、この数値の上昇は、会計年度任用職員制度が開始したこと、公債費負担比率が今年度大きく上昇した要因でもある区債の満期一括償還額が過去最多であったことなどが理由です。したがって、この数値をもって直ちに区財政が弾力性を失っているとは言えないと判断します。 財政運営においては、厳しい財政状況の中でも、足元の行政需要に着実に対応するとともに、新たな行政需要にも迅速、的確に対応することができるように、財政健全化と持続可能な行財政運営を確保するためのルールを遵守していることを評価いたします。 最後に、区債と基金のバランスについてです。 財政調整基金については、新型コロナウイルス感染症対策の財源に充てるために64億円を取り崩したものの、年度末現在で408億円の残高を維持しています。施設整備基金は、中央図書館の改修等の財源に充てるため21億円を取り崩しましたが、年度末残高が109億円と、大きく積み増すことができました。 区債発行については、富士見丘小学校、中学校の改築や、中央図書館、勤労福祉会館、西荻地域区民センターの改修に充てるため、59億300万円の増、元年度より11%の増となりました。もっとも、区債残高は、当該年度の元金償還額がこの5年間で最高の61億3,896万円となったことから、全体としては減少しました。 基金総額は、総額で前年度比12億6,300万円減の628億800万円となりましたが、総じてバランスの取れた運用がなされていると判断しました。 以上の理由から、区財政は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも、持続可能性に配慮した効率的な運営ができているものと認定いたします。 今後数年間、新型コロナウイルス感染症が日本経済に及ぼす影響に鑑み、区では、基金の大幅な取崩しが予想されます。また、同時期に、第二期杉並区立施設再編整備計画が始まり、新たな区債発行も必要になることと思います。区財政を取り巻く環境は、ますます厳しいものになります。杉並区には、今後もしっかりと国庫・都支出金を確保していただき、常に必要経費の精査を行いながら、区債発行額の抑制に努めていただきたい。そしてこれまで以上に基金と区債のバランスに目を配った行財政運営を要望いたします。 特別会計に触れますと、用地会計は、歳入歳出ともに大幅に増加しました。これは、平成28年度、29年度に富士見丘地域学校用地を取得した際に発行した区債の元利償還を行ったためであり、適切に運営していたものと認められます。 国民健康保険、介護保険、後期高齢者医療の各事業については、各保険料とも実質収支額が黒字である点、収納率が区の徴収努力によって軒並み前年度より向上している点を評価し、全て適切であると判断いたします。 もっとも、特別会計全体の収入未済額、不納欠損額は減額しているものの、それぞれ31億8,600万円、10億3,100万円と巨額であり、一層の改善を求めるものです。また、一般会計からの繰入れが、前年度から3億8,300万円増の176億2,700万円となっており、こちらにも気を配っていただくように要望をいたします。 次に、2、区民の喫緊の課題に対応できたかどうかについてです。 先ほどから申し上げているとおり、当該年度は、世界中で新型コロナウイルス感染症が大流行した1年でした。年度当初は、未知のウイルスであった新型コロナウイルス感染症から区民の生命、財産を守る、このことこそが杉並区に求められた役割でした。自分が感染したときに病院に入院ができるのか、十分な治療は受けられるのか、そもそも発熱したとき自分は病院で検査を受けることができるのだろうか、病院に診療を断られてしまうのではないか、区民にはこうした不安を抱く方が非常に多かったように思います。 そうした中、杉並区は、新型コロナウイルス感染症対策として、過去最多となる14回、総額692億円にも上る補正予算を計上し、本来国や東京都が行うべき対策を先んじて進めてきました。中でも、新型コロナウイルス感染症患者の急増に伴う医療崩壊を防ぐために行った、区内の感染症診療協力医療機関4病院への包括補助は、まさに区民の生命を守るための施策であり、大いに評価をするものです。 ほかにも区は、区内基幹病院への発熱外来の設置や、区内中小企業者への支援、文化芸術活動の支援など、区独自の対策を時期を逸することなく進めてきました。そして、そのための財源は、国庫・都支出金はもちろん、財政調整基金をちゅうちょなく活用したり、コロナ禍の影響により中止、縮小した事業の経費について年度途中に減額補正を行い、感染症対策に活用するための予算を生み出したりするなど、都度、我が会派が要望してきたとおりの財政運営がなされたものと評価いたします。新型コロナウイルス感染症から区民の生命、財産を何としても守るという区の強いメッセージは、確実に区民へ届いたことだろうと思います。 また、区立学校臨時休業における児童生徒の学びの機会を確保するため、区の配備計画から前倒しして、区立学校に在籍する全ての児童生徒に1人1台専用タブレットを配備しました。令和2年2月末から行われた全国一斉臨時休業が子供たちに与えた影響は、非常に大きなものでした。日本中で、コロナ禍でも子供の学びを止めないための対策が求められる中、区はそのニーズに応えたものであり、評価するものです。 以上の点から、令和2年度の予算執行は、区民の喫緊の課題に的確に応えたものであったと認定しました。 新型コロナウイルス感染症対策は、来年度も必要になることと思います。杉並区は、引き続き、時期を逸することなく、迅速かつ丁寧な対応を要望しておきます。 最後に、3、現基本構想の実現に向けた予算執行がなされていたかどうかです。 当該年度予算は、そのタイトルから分かるとおり、現基本構想の完結に向けた編成となりました。もっとも、予算編成当時、新型コロナウイルス感染症の影響がどの程度区政に影響を及ぼすのか、誰にも予見することはできませんでした。そして、実際に蓋を開けてみれば、新年度が始まった直後の令和2年4月7日から1度目の緊急事態宣言、その後、宣言が明けても感染の波は何度も訪れ、令和3年1月から2度目の緊急事態宣言が発出されました。 また、平成25年9月の招致決定から国を挙げて準備を進めてきた東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が史上初めて延期になったり、国民へ外出自粛要請、店舗へ時短営業要請が出されたりするなど、まさに悪い意味で想定外の1年となってしまいました。 杉並区でも、さきに述べたとおり、当初予定していた事業の多くが、感染拡大防止の観点から中止、縮小となってしまいました。そうした中でも、区は、実行計画に基づき、可能な限り事業を推進し、施策の充実を図るために様々御尽力されたことを評価いたします。それぞれの事業の執行率や進捗度に鑑み、現基本構想の実現に向けた予算執行はなされていたものと認定をいたします。 もっとも、いまだに計画目標値の達成度が80%に到達していない事業が約3割程度見受けられることも事実です。この計画は、現基本構想最終年度である令和3年度に全て完了することがもちろん理想です。しかし、仮にそうならなかったとしても、この目標値が白紙に戻るわけではありません。目標未達のものについては、新基本構想下で策定される総合計画、実行計画において、目標値を上方修正した上で、改めて反映していただくように要望いたします。 以上述べた3つの視点により、各会計決算を認定する理由を述べてまいりました。私は、この場において個別の施策に対する要望を取り上げることはあえていたしませんでした。なぜなら、決算特別委員会で私ども会派からお伝えした意見や要望は、全て私たち全員が地域を歩き、耳を傾けてきた大切な区民の声だからです。その中から、時間の関係で一部のみを抜き出し、この場で取り上げることはできないと判断をいたしました。区当局におかれましては、決算特別委員会でお伝えしました私たち会派の意見、要望を、来年度予算や今後の区政運営に必ずや反映させていただきますよう、要望をさせていただきます。 さて、来年度から新基本構想がスタートします。ここで、今後おおむね10年程度の区政運営における羅針盤となる新基本構想実現のための具体的な道筋となる総合計画、実行計画等の諸計画策定に際し、区に留意していただきたい事項を、1点だけ申し上げます。それは、新しいことに挑戦することをどうか恐れないでいただきたいということです。 今後10年間の社会の変化は、これまでと比較にならないほど激しいものになるでしょう。誰にもそのありようを正確に予想することはできません。AIやICTの進化といったデジタル変革の波が押し寄せています。この波を杉並区がうまく乗りこなすことができたならば、区民福祉は今よりも必ず向上します。杉並区がこれまでやりたくてもできなかったことが、デジタル技術の進化によって可能になります。区には、新たな技術を迅速かつ積極的に施策に活用していただき、区民生活がより豊かになるように挑戦し続けていただきたいと思います。 そのために必要なことは、何としてでも区民の生活を豊かにするという杉並区の覚悟です。覚悟とは、暗闇の荒野に進むべき道を切り開くことだと私は考えます。覚悟は、昇りゆく朝日よりも明るい輝きで道を照らしています。その道は、これから私たちが向かうべき正しい道なのです。 もっとも、その道は、歩きやすい安全な道ばかりではありません。見通しの悪い、リスクの多い道もあると思います。史上最高のボクサーでもあるモハメド・アリは、リスクを取る勇気がなければ、何も達成することがない人生になると言いました。行政は、リスクを負うことを極力避けなくてはいけません。区民の税金をお預かりしてやりくりしているわけですから、当然です。しかし、リスクを負わなければ得られない成果も、必ずあります。私たち杉並区議会自由民主党は、杉並区が区民のために新たな施策にリスクを負ってでも挑戦をする覚悟があるのであれば、とことんまで議論を尽くし、そのリスクを限りなくゼロに近づけるよう協力することを惜しみません。ここにお約束をいたします。 結びに、決算特別委員会の審査に当たり、誠意を持って御答弁いただきました理事者の皆様、新型コロナウイルス感染症対応で手いっぱいの中、膨大な資料作成に快く応じていただきました職員の皆様、円滑かつ公平な委員会運営に御尽力されました正副委員長に心より感謝を申し上げ、杉並区議会自由民主党の意見開陳といたします。