議会活動の記録へ戻る

一般質問

災害時要配慮者支援

令和3年第4回定例会-11月15日-26号

災害時要配慮者支援
公式会議録を読む公式の録画を見る

発言本文

わたなべ友貴本人の発言を、当日の発言順に掲載しています(西暦の年表記は和暦に統一)。答弁や他議員の発言は省いています。質疑の前後関係は公式会議録でご確認ください。

◆15番(わたなべ友貴議員) 杉並区議会自由民主党のわたなべ友貴です。会派の一員として、通告に従い、区政一般について質問いたします。  災害弱者と呼ばれる皆さんは、平時から様々なサポートを必要としています。この方々は、災害時に最も命の危険にさらされることが明白です。ですから、行政は、平時から災害弱者の皆様の命を守るための対策を優先して進めておく必要があります。画一的な対策から取りこぼされることで、直ちに命に直結する人が必ずいらっしゃるからです。  そこで、本日は、災害弱者の皆様の命を守るための施策である災害時要配慮者支援制度について、命の間隙が生じる制度になっていないかという視点で伺ってまいります。よろしくお願いいたします。  平成23年の東日本大震災では、多くの高齢者や障害のある方が、避難の遅れによって命を落とされました。このことを受けて、平成26年から、災害の際に自力での避難が困難な方、いわゆる災害弱者と呼ばれる方たちを事前に把握するための名簿を作成することが、災害対策基本法において自治体の義務となりました。こうして作られたのが避難行動要支援者名簿です。  杉並区では独自に災害時要配慮者の支援のための行動指針を策定し、災害弱者への対策を進めています。この指針の対象者となる災害時要配慮者とは、避難行動要支援者名簿のうち、希望者のみが事前登録をするたすけあいネットワークの登録者としています。  避難行動要支援者は、この区独自の仕組みであるたすけあいネットワークに事前登録することで、災害時要配慮者として関係者に情報共有され、災害時に支援を受けられやすくなります。裏を返せば、避難行動要支援者は、このたすけあいネットワークに登録をしていなければ、地域の支援の網からこぼれ落ちてしまう可能性があるということです。したがって、区は、避難行動要支援者の命を守るため、一人でも多くの方にこのたすけあいネットワークに登録していただく必要があります。  区は、避難行動要支援者名簿によって、たすけあいネットワーク登録対象者となる方の人数を把握していることと思います。そこで、まず、避難行動要支援者名簿の登載者の総数と、その中でたすけあいネットワーク登録率は現在どの程度か、確認をいたします。あわせて、避難行動要支援者のうち、たすけあいネットワークに登録をしていない方への登録勧奨はどのように行っているのか、伺います。  そもそも、一般的に災害時要配慮者とは、高齢者、障害者、難病患者、妊産婦、乳幼児親子や外国人の方などをいいます。しかし、区の指針で災害時要配慮者として扱われるたすけあいネットワークの登録対象者は、介護保険認定者や障害のある方が基本で、そうした方以外は、個別で希望のあった方のみとされています。つまり、一般的な災害時要配慮者よりも、たすけあいネットワーク登録対象者のほうが対象が狭くなっているのです。  たすけあいネットワークに登録をした区民は、事前に個別避難支援プランが作成されたり、震災救援所へ事前に情報が共有されたりするので、一人一人のニーズに沿った迅速かつ的確な支援が受けられるなど、メリットが多くあります。ですから、区は、区の言うところのその他個別で希望のあった方に対して、たすけあいネットワークに登録することの利点を分かりやすく周知し、登録を希望する方を増やしていくことが必要になります。  そこで、一般的な災害時要配慮者のうち、たすけあいネットワーク登録者以外で支援を必要とする方、例えば妊産婦、乳幼児親子などへ事前の個別避難支援プラン作成などの制度周知、これをどのように行っているのか伺います。  杉並区では、災害発生時、原則在宅での避難を区民の皆さんにお願いしています。区民の皆様は、自宅が被災し、在宅避難ができなくなって初めて震災救援所へ避難していただくことになります。また、これとは別に、災害発生時、災害時要配慮者のために福祉避難所が開設されることになります。ここからは、この福祉避難所について質問をしていきます。  福祉避難所は、自宅や一般的な避難所での生活を維持することが困難な方のための特別な避難所です。ところが、平成28年の熊本地震では、この福祉避難所が十分に機能しなかったということが、報道で大きな話題となりました。熊本地震で福祉避難所が機能しなかった主な理由は、一般的な避難所から、支援が必要な方を福祉避難所にピックアップすることが円滑にできなかったことです。  この点、国の定める福祉避難所設置・運営に関するガイドラインにおいて、要配慮者は、まず一般の避難所に避難して、その避難所において、福祉避難所への避難の必要性を判断し、移送を行うとされていました。  杉並区もこのガイドラインに従い、災害時要配慮者は、原則在宅避難、それができない場合に、まずは震災救援所へ避難としています。直接福祉救援所へ避難しない理由として、災害時に福祉救援所の受入れ体制が不透明であることや、施設での受入れ人数が限られていることが挙げられます。もっとも、杉並区の新実行計画では、新しい福祉救援所開設の目標数が指標に掲げられており、量的な部分での問題意識を強く持っていらっしゃることが分かります。  そこで、現在指定されている区内福祉救援所では、どの程度の要配慮者を受け入れられる体制が整っているのか、確認をします。  福祉避難所は、災害時要配慮者である高齢者、障害者、乳幼児、その他特に配慮を要する方々に対して必要な支援を行う避難所としての役割を期待されています。そこで、杉並区は、避難所の量だけではなく、多様な要配慮者に対応できるだけのバリエーションを整備する必要もあります。つまり、福祉避難所の質の話です。以前から杉並区議会でも議論になっている妊産婦、母子避難所もその一例です。この点についてはまた別の機会に取り上げますが、これからも数と質の両面からの整備に引き続き取り組んでいただくことを要望しておきます。  先ほど述べたように、災害時要配慮者は、原則在宅避難をして、それができない場合に初めて各震災救援所へ避難することになります。では、各震災救援所では災害時要配慮者の受入れ体制がどの程度整っているのでしょうか。  区の指針には、震災救援所における要配慮者に対する障害特性ごとの対応方法や、妊産婦、母子、外国人等への支援方法が列挙されています。しかし、震災救援所を運営する福祉の専門家でもない区民は、災害直後の混乱時に、果たしてどれだけこの指針に沿った対応ができるのでしょうか。文字で見るのと実際に行うのとでは訳が違います。  災害時要配慮者の皆様への対応は、一つ間違えば命に関わるような重要なものです。日頃から避難所運営メンバーの皆様が災害時要配慮者の方に対する理解を深めておかなくては、いざというとき、迅速かつ正確な対応をすることはできません。  そこで、各震災救援所の要配慮者に対する取組状況を確認します。  また、区の指針によれば、参考になる救援所での取組があれば、ほかの救援所へ共有するということですが、そのような事例があるのかも確認をいたします。  いざ要配慮者の方が震災救援所に避難をしてきて、この方が震災救援所での避難生活を送ることが困難となり、福祉救援所への移送を求めたとします。私は、杉並区の今の指針では、このような事案に対応することには課題があるのではないかと感じています。  杉並区の指針によれば、震災救援所から福祉救援所へ要配慮者を搬送するかどうかの判断は、各震災救援所に置かれる救護班、救助班が行うことになっています。そしてその役割は、運営主体である運営連絡協議会のメンバーである区民の方が担います。運営メンバーの中に要配慮者の状態を判断できるような専門性を有する方がいれば何よりですが、そのような救援所はまれではないでしょうか。  熊本地震では、発災2日後の平成28年4月16日の段階で、熊本市での福祉避難所利用者が5施設の5人のみであったとのことです。これは福祉避難所を利用する必要性のある方がいなかったのではなく、必要とする方をピックアップするための明確な基準が示されておらず、移送の判断に時間がかかったことが原因であったと分析されています。熊本市では、要配慮者を福祉避難所へ移送するかどうかの判断を、資格を持った保健師が行うこととしていたにもかかわらず、このような事態に陥ったのです。  したがって、私は、区の指針に従い、震災救援所から福祉救援所への移送を区民が判断することになれば、この作業が妨げとなり、災害時要配慮者への支援が滞ってしまうのではないかと懸念しています。  そこで、区は、保健師のような専門性を持たない区民が、どのようにして災害時要配慮者の福祉救援所への移送の必要性の有無を判断することにしているのか、確認をします。  国が策定するガイドラインには、東日本大震災の事例報告として、災害時要配慮者を適切な避難場所へ誘導するためには、ある程度の専門性が必要になるが、発災直後はそのような専門性を持った人的資源を得ることは難しい場合があり、移送の判断に迷うことが多かったと報告されています。それにもかかわらず、同ガイドラインでは、「最近の研究においては、特別な知識がなくとも、スクリーニングすることができる判断基準が示されており、これらを活用し、災害時の判断基準とするための取り決めや訓練等の実現が期待される。」としています。  私もこのスクリーニングの例を確認しました。とても抽象的で、かつ具体的事例に乏しいものであり、区民が災害現場でこれを根拠にできるかは甚だ疑問です。  杉並区は、災害時要配慮者となり、かつ福祉避難所を利用することが確実になる層を日頃の業務から事前に把握ができているはずです。それにもかかわらず、災害という極限の状態の中で、こうした困難を伴う移送判定業務を必須の手続としていることにこそ、この問題の本質があるのではないでしょうか。区は、災害時要配慮者が災害からの直接死を避けることができても、避難所生活での必要な支援を受けることができなければ、災害関連死の危険と隣り合わせであるということを決して忘れてはいけません。  そこで、区は、あらかじめ避難生活が困難であると分かっている方と平時の時点で個別に受入れ調整などを行った上で、福祉救援所を一次避難場所として指定する必要があると考えますが、この点について見解を伺います。  災害時に必要なことは、災害時要配慮者を福祉避難所へ移送するべきかどうかという判断の正確性では決してありません。本当に必要なことは、災害時要配慮者が迅速に福祉避難所へたどり着けることです。例えば、認知症高齢者の方が災害時に何度も移動させられることがどれだけ本人や家族の負担になることか、自閉症を抱える方や家族にとって、新しい場所、集団へ移動を重ねることがどれだけリスクを抱えることになるのか、容易に想像がつくはずです。区には、こうした災害時要配慮者の方に対して、事前に移送の回数を減らす制度設計を構築していただくよう強く要望をしておきます。  さて、ここからは、災害が起こる前の災害時要配慮者支援策について伺っていきます。  災害が発生し、またはそのおそれが高まったとき、災害時要配慮者の避難誘導等を迅速かつ的確に実施するためには、あらかじめ一人一人について、誰が支援し、どこの避難場所に避難するのかを定めておくことが重要です。  そこで、杉並区では、たすけあいネットワークに登録している方を対象に、避難を支援する方、避難場所、方法、情報伝達方法、要支援者の個人情報などを個別避難支援プランとして作成することにしています。  個別避難支援プランは、民生児童委員の方が中心となって、場合によっては、ケアマネジャーの方の支援を受けながら作成をしています。もっとも、個別避難支援プランの作成には、個人情報を他人に知られることを嫌がったり、自分は元気だから必要ないと断ったりする方がいるなど、困難な場合があるとも聞いています。ですから、たすけあいネットワークに登録している方全員が個別避難支援プランの作成を終えているわけではないと思います。  そこで、まず、たすけあいネットワーク登録者の個別避難支援プラン作成状況はどのようになっているのか伺います。  個別避難支援プランは、対象者それぞれへオーダーメードするものです。したがって、作成には、当然、時間も人手も必要です。では、民生児童委員の方が個別避難支援プランを作成するという現在の仕組みをこれからも継続していくことは果たしてできるのでしょうか。超高齢社会に突入した今、たすけあいネットワークに登録する必要がある高齢者は、右肩上がりに増え続けます。民生児童委員の皆様だけでは、個別避難支援プランの作成が到底追いつかなくなることは明白です。  そこで、区は、今後、民生児童委員の方だけではなく、区がある程度の報酬や事務費といった金銭的な補助を行い、高齢者と接する機会の多い福祉の専門家であるケアマネジャー等が直接プランを作成できるような仕組みを構築していくべきではないでしょうか。  兵庫県では既に令和2年度、介護サービスのケアプラン作成に合わせて避難計画をつくる場合、1件7,000円の報酬を介護事業者などに支給する事業を始めています。作成を担うケアマネジャーに防災研修を受けてもらうなど、福祉職を巻き込んだ体制を構築できています。  必ず起こる首都直下地震や毎年激甚化する豪雨災害に備え、被災予測で危険度の高い地域にお住まいの方や、心身の状態等によって避難支援が必要となる蓋然性の高い方から優先的に個別避難支援プランの作成をスピードアップしていく必要が日に日に高まっています。そのために、今後は、プラン作成に携わる人手が足りなくなるような場合を見据えて、有償で人手を増やすような積極的な取組が必要であると考えますが、この点について区の見解を伺います。  今年の4月、災害対策基本法が改正され、災害時に支援が必要になる方々への個別避難支援プランの作成が自治体の努力義務となりました。杉並区では、これまで述べてきたとおり、法改正の前から、たすけあいネットワークへの登録促進によって、抱き合わせで個別避難支援プランの作成を行ってきました。つまり、国に先んじてこの問題に取り組んでいたわけです。  しかし、杉並区が個別避難支援プラン作成率を100%にするためには、2つの関門があります。まずは、たすけあいネットワークに登録をしてほしいのにしてくださらない方がいらっしゃること、2つ目は、たすけあいネットワークに登録をしても、個別避難支援プランの作成に至っていない方がいらっしゃるということです。  1つ目の関門を越えるために、杉並区は、新実行計画で災害時要配慮者対策の指標として、これまで同様、たすけあいネットワークの新規登録者目標が設定されています。これ自体は大変重要なことです。しかし、これからは、2つ目の関門を越えるために、たすけあいネットワークの登録者数だけを目標とするのではなく、さらに進んで、災害対策基本法上努力義務となった個別避難支援プラン作成目標を設定するなど、これまで以上に意欲的な取組を求めますが、区の見解を伺います。  これまで、災害時に最も命の危険にさらされる災害時要配慮者への対応は、共助の取組を進めましょうというような抽象的なものが主流であったと思います。本来、第1優先順位とされるべき災害時要配慮者のための対策は、平時でさえも十分でないにもかかわらず、災害時には公助の役割より自助・共助が大きな割合を占めています。  これまで日本各地で様々な災害が発生し、その都度、災害時要配慮者対策の機能不全が繰り返されてきました。その原因は、今日ここまで述べてきたとおり、福祉避難所への直接避難ができないことや、個別避難支援プランの作成がうまく進んでいないことです。  同じ機能不全を起こさせないようにすることは、杉並区の責務です。災害時要配慮者への対応は、防災対策の基本である自助・共助・公助のうち、公助を全集中させる場面です。現在の区の指針のように、災害時要配慮者対策にまで自助・共助を第一に求めるのであれば、それはもはや行政の責任放棄と言われてもおかしくはありません。  先日、杉並区総合震災訓練が行われました。私も参加をさせていただきました。そこで区は、杉並区は持てる能力の全てを挙げて災害に立ち向かいます、災害から一人でも多くの生命や財産を守るために、自助・共助・公助の三位一体で防災対策を進めましょうと、力強くアナウンスをされていました。私はこの言葉を信じています。三位一体と言うのであれば、それぞれがそれぞれの責任を全力で全うしようではありませんか。  そこで、本日の最後に、新総合計画の重点施策に位置づけられた災害時要配慮者対策について、今後10年余りの区の取組への決意をお伺いし、私の一般質問を終わります。  ありがとうございました。

議会活動の記録一覧へ

出典:杉並区議会会議録検索システム / 確認日:令和8年10月2日